ナオスジのポンプ場で宿直が遭った金縛り
どんな伝承か
香川県坂出市川津町で昭和十四年に起きたという実話。ナオスジと呼ばれる細く長い一本道の一部を潰して水源地のポンプ場が造られ、その横に宿直室が設けられた。まず若手のKさんが初宿直となり、見回りを終えて寝についた。ところが真夜中の三時ごろ、突然胸をしめつけられる苦しみに襲われ、真黒い顔でまっ赤な口をしたお化けのようなものが大きな手でぐいぐいと締めつけ、息もできないほどだった。自分のうめき声で我に返ると全身冷汗でびっしょり。ちょうどそのとき、外の暗やみを人とも動物ともつかぬ集団がバタバタと走り去る音が聞こえ、それを聞いた途端に体の力が抜け、ふるえが止まらなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪伝説奇聞(東雅夫・2005年(平成17年))
『妖怪伝説奇聞』は、東雅夫が二〇〇五年に学習研究社から刊行した妖怪伝承地の探訪記である。稲生物怪録の木槌、クダン、牛鬼、塵輪、ナメラスジ、八幡の藪知らず、鬼の骨、蛇骨、鍋島の怪猫、児啼爺などを追い、中国・四国・九州ほか各地の寺社や旧家を訪ねて遺物と伝承を確かめる。月刊誌「ムー」の連載「日本伝説紀行」の十二章を三つのカラーグラビアで区切り、巻末に草双紙『鍋島猫騒動』の復刻を添える。