朝に響いた姿なき男の挨拶
どんな伝承か
昭和五十八年初夏のことである。ある朝早く、若い男の人の声がした。朝なのに、こんにちは、と言って来たのである。語り手はその声で目が覚め、はい、と答えて起き、戸を開けてみたが、そこには誰の姿もなかった。不思議なこともあるものだと思っていたところ、幾日も経たないうちに、次の村の三十代ほどの若い者が急死した。それでも自分は少しも怖くはない、神様や仏様を拝んでいるからだ、と語り手は述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。