鶴岡の監房で霊水を授かった長南年恵
どんな伝承か
山形県鶴岡の長南年恵は、人をまどわす者とみなされて二度とらえられ、明治二十八年七月から六十日間、明治二十九年十月十日から七日間、山形県監獄鶴岡支署に入れられた。のちに弟の雄吉が支署長あてに出した証明願によると、拘禁中の年恵は用便がまったくなく、ほとんど何も食べず、ぶどうを口にしただけで血を吐いた。前の署長に頼まれて監房で神に祈ると霊水や守り札、経文、散薬が授かり、同じ房の者にも薬を分け与えた。神々が降りたときには係の役人たちが空から響く楽の音を聞き、蚊が年恵にだけは寄りつかないので、彼女ひとり蚊帳の外で寝たという。
原典より
三、拘禁中に前署長有村実礼のもとめにより監房内で神に願って、霊水一びん、守札一枚、経文一部、散薬一服を授けられて、これを前署長に贈与したこと。—— 第四の世界―心霊現象のなぞをとく(田中千代松・1960年(昭和35年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
第四の世界―心霊現象のなぞをとく(田中千代松・1960年(昭和35年))
『第四の世界―心霊現象のなぞをとく』は、田中千代松が一九六〇年に著した心霊現象の解説書である。予言・千里眼・霊聴・霊言・自動書記・サイコメトリーなどの霊能から、幽霊の体験記、物質化した霊像、叩音、物体移動、心霊写真、ルルドの奇蹟、起訴された霊媒、デューク大学の超心理学までを、日本と欧米の事例を交えて扱う。東京大学教授後藤以紀の推薦文とまえおきに続く十六章で構成し、むすびで心霊研究のあり方を論じる。