茶の稽古で三度会った自分の像
どんな伝承か
東京都練馬区の加藤伸子(仮名)は、茶道の稽古中に三度、自己像幻視を体験したという。いずれも目の前の空間、四十五度ほどの角度の位置に、ガラスに映った顔のようなセピア色の自分の像が突然現れた。見てすぐに自分だと分かり、驚くよりも「ヘェー、私がいる」と面白く感じた。その像と互いに眼を見交わし、数秒間、眼と眼で会話する感覚が続いた。言葉は口にしないまま、「善、悪について」といった抽象度の高い会話が成立したという。本人は体外離脱の例として書き送ったが、著者は自己像幻視に分類している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション)
『臨死体験(立花隆)』は、立花隆が著したノンフィクションである。一九九一年三月放送のNHKスペシャルのための取材を出発点に、日本と欧米の体験者の証言、キュブラー・ロスやムーディら研究者への聞き取り、「文藝春秋」連載中に寄せられた体験談を収める。体外離脱、光の体験、文化による体験の差、感覚遮断や脳の仕組みを章ごとに論じ、末尾で現実体験説と脳内現象説を比べたうえで、著者は基本的に脳内現象説に立つと述べる。