事故死の夢で河原を歩いた帰省の夏
どんな伝承か
岡山市に住む三十歳のI・Hさんは、大学四年の夏休みに香川県坂出市の実家へ帰っていたとき、自分が交通事故で死ぬ夢を見た。夢の中の彼女は高校時代の親友の赤い軽自動車の助手席に乗り、夕方の混んだ丸亀市の県道を走っていた。友人のよそ見で追突しかけ、右へ切って対向車線へ出たところへ大型トラックが来て即死した。痛みはなく、気づくと地上二、三メートルから、ダッシュボードに伏して動かない自分を見下ろしていた。残る家族を案じるうち、白い着物に素足の姿で家の近くを地面から浮いてさまよい、近所の人に会釈しても気づかれなかった。最後は浅い川の河原のなめらかな石の上を歩いていたという。
原典より
自分の姿を見ると、白い着物をまとい、足は素足でした。—— 臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション)
『臨死体験(立花隆)』は、立花隆が著したノンフィクションである。一九九一年三月放送のNHKスペシャルのための取材を出発点に、日本と欧米の体験者の証言、キュブラー・ロスやムーディら研究者への聞き取り、「文藝春秋」連載中に寄せられた体験談を収める。体外離脱、光の体験、文化による体験の差、感覚遮断や脳の仕組みを章ごとに論じ、末尾で現実体験説と脳内現象説を比べたうえで、著者は基本的に脳内現象説に立つと述べる。