ガラス箱で踊るシクラメンの妖精
どんな伝承か
語り手はかつて、西荻窪の自宅の近くに住んでいた心霊学者・小田秀人の家で開かれた実験会に出たことがある。その席で見たのはシクラメンの妖精だった。縁を目張りしたガラスの箱の中に、身の丈四、五寸ほどの西洋人形のような姿となって物質化し、可憐な形を現したという。しかも居合わせた者たちの求めに応じて、タップダンスなどを巧みに踊ってみせた。語り手はそれを自分の肉眼で見て大いに珍しく思ったと述べる。ただし植物は生き物の側に属するのだから霊があってもおかしくはない、無生物である石にまで意志や感覚があろうとは夢にも思わなかった、とこの見聞を引き合いに出している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本神異見聞伝(笠井鎮夫・1974年(昭和49年))
『日本神異見聞伝』は、笠井鎮夫が昭和四十九年に著した霊異の見聞記である。第一篇では、大正期に大本で鎮魂帰神を受けた著者が、霊媒による死者の招霊や狐霊・竜神の託宣、霊石の発掘などを研究会での語りの口調で伝える。第二篇では、慶応三年のええじゃないかのころ尾張・遠江・駿河・美濃・丹後などで起きたお札降りを、旧家の古文書や郷土史家の便り、著者の現地調査から記録している。