廊下で娘が行き逢った男の子のザシキワラシ
どんな伝承か
遠野の旧家には、十二、三歳ほどの子どもの姿をした神、ザシキワラシの住む家が少なくなく、ときどき人の目に姿を見せるという。土淵村飯豊の今淵勘十郎の家もその一つで、高等女学校に通う娘が休みで家に帰っていたある日、廊下で出し抜けにザシキワラシと鉢合わせし、肝をつぶすほど驚いた。そのとき娘が見たザシキワラシは、まぎれもなく男の子の姿をしていたと伝わる。
原典より
土淵村大字飯豊の今淵勘十郎といふ人の家にては、近き頃高等女学校に居る娘の休暇にて帰りてありしが、ある日廊下にてはたとザシキワラシに行き逢ひ大いに驚きしことあり。—— 黄昏綺譚(高橋克彦・幽霊・怪異体験・1996年(平成8年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
黄昏綺譚(高橋克彦・幽霊・怪異体験・1996年(平成8年))
『黄昏綺譚』は、高橋克彦が連載をまとめ、一九九六年七月付のあとがきを付したエッセイ集で、吉田光彦の挿絵と組んだ画文集である。著者が体験し見聞きした分身や生霊、寺での怪異、前世、UFOなどの不思議と、史料や神話に残る怪異、宮澤賢治をゴッホの生まれ変わりとみる考えを語る。「この世に幽霊はいる」「不思議な話が史料や神話に」「宮澤賢治はゴッホの生まれ変わり!!!」の三部に分かれ、巻末にあとがきと丸尾末広の解説「黄昏るペン」を収める。