湯本温泉の蛇に犯された女
どんな伝承か
先年のことである。稗貫郡湯本村の温泉に、蛇に入り込まれたという若い女が入湯に来ていた。入られてからすでに三日にもなるが、どうしても出て来ない。誰が言うともなく、熱い温泉に浴すればよいと聞いて来たのだという。蛇はすでに死んだものか、色が白けて少しも動かなかった。それを目の当たりに見た人の直話であると記されている。この女はそれまでにも二度犯されたというが、同じ女がこうしたことを度重ねるのも不思議なことだと語られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。