手をかざして湯を沸かした霊媒長南年恵
どんな伝承か
東北の鶴岡に住んだ神道の信者、長南年恵は、著者が古今の大霊媒と呼ぶ女性で、身のまわりで数々の不思議が起きたと伝わる。風呂桶に汲んだ水の上にしばらく手をかざすと、水が温まって入浴できるほどの湯になった。亡くなる三年前からはごく少しの水と果物をたまに口にするだけで食事をとらなかったが、血色はよく、十五貫ほどの体重を保ち、ふだんどおりに起き伏しして働いていた。また彼女のいる所では、居合わせた人々の耳に空から神仙の音楽がよく聞こえたという。著者はこれらを彼女に付いた神霊の力によるものとしている。
原典より
風呂桶に水を汲み込んで、その水面に暫時間手を翳すと、水が温かくなつて入浴に適するほどの湯になった。—— 心霊不滅(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1940年(昭和15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊不滅(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1940年(昭和15年))
『心霊不滅』は、岡田建文が著し、昭和十五年に大阪の国民書院が発行した心霊研究書である。人の心霊は肉体の死後も存続するという立場から、神道の神霊の垂示を引きつつ、心霊の本質と「化精」、遠感と魂の遊離、生霊、二重体、交霊術と霊媒、霊感筆記、幽霊写真などの物理現象、幽霊の出現を論じる。序説と七章からなり、第三・四・五・七章に「例一」「例二」と番号を付けた事例を並べ、今昔物語の説話、江戸から昭和の国内の見聞、欧米の報告を挙げる。