行き先を変え続けた女の客
どんな伝承か
タクシーの運転手が、ある日ひとりの女を乗せた。女は人形町へと告げ、近づくと今度は三田綱町へ、そこへ着きかけるとまた人形町へと行き先を変える。ようやく人形町の町角で降りた女は、料金を払わずに姿を消した。運転手が家らしい所を訪ねて代金を求めると、そこは葬儀の最中で、綱町には結婚を控えた婚約者がいるとのことだった。運転手は受け取った金を御霊前に供えて帰ったが、その日に限って手を挙げるのは若い女ばかりで、恐ろしくなり誰も乗せずに帰ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
暮しの中の妖怪たち(岩井宏実・岩井宏実・民俗学・昭和(現代民俗学))
民俗学者・岩井宏実による妖怪事典『暮しの中の妖怪たち』。日本各地の妖怪を暮しの空間(山・海・道・家・屋敷)ごとに、約六十項目にわたり具体例とともに解説する。