大安寺の講堂に居座った野狐
どんな伝承か
『続日本紀』宝亀三年六月の条に、野狐が大安寺の講堂に居座ったという記事がある。狐が鳴いたり人前に姿を見せたりすることは凶兆とされていたらしく、著者は日本書紀・続日本紀・日本紀略・三代実録から、こうした狐の出現を記した記事を年代順に並べている。そのうち、奈良の大安寺という場所をはっきり記した記録の一つである。
原典より
寶龜三年六月已巳、有野狐踞干大安寺講堂三 (續日本紀)。—— 動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年))
『動物妖怪譚』は、日野巌が大正六年に筆を起こし、大正十一年の跋と大正十五年の再記を添えて著した伝説の動物の研究書である。鬼・天狗・河童・人魚・雪女・龍・雷獣・狐・狸・獏・鯰・猫など二十六の項目を立て、記紀や万葉集から近世の随筆までの記事を原文の引用ごと示して起源と変遷をたどり、動物学の知識で正体を考える。總論で起原・歴史的変遷・分類などを論じ、結論では迷信から科学へ近づくことを説いて閉じる。