空へ向かう犬のクボエは凶事の兆
どんな伝承か
犬が立ち止まって声を長く引いて鳴くことを、東北日本の多くではクボエ、西南日本の各地ではタチナキといい、犬がそうするときには決まって不吉なことがあるとする伝承が少なくない。仙台では、首をもたげるようにして空に向かってクボエをかけるときには凶事があり、首をうなだれるようにして鳴くときには人が死ぬという。富山県では犬が夜中に不吉な鳴き方をすることをオエンナキといい、そういうときは近くで死人があるという。高知県ではオカボエといい、やはり火事その他の凶事があるものとされる。犬にもまた少なからぬ霊力が信じられていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・石塚尊俊・民俗学・昭和(民俗調査))
民俗学者・石塚尊俊『日本の憑きもの―俗信は今も生きている』。日本各地の憑きもの俗信を実地調査と文献で体系化した研究の決定版。