十五で母から娘へ渡る犬神
どんな伝承か
憑きもの筋は嫁入りによって伝わり婿には移らないと各地でいうが、それがもっともはっきりしているのは徳島県だという。美馬郡江原町の拝原には犬神筋とされる家が二軒あり、世間から恐れられていた。ただしこの土地では、犬神が伝わるのは母から娘への一筋だけとされ、娘が十五になると母親から受け継がされるのだと語られていた。高橋盛孝が『民間伝承』三巻十二号に報じている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・1959年(昭和34年))
『日本の憑きもの――俗信は今も生きている』は、石塚尊俊が昭和三十四年に著した研究書である。狐・犬神・蛇などの動物霊が人に憑くという俗信と、それを操るとされる家筋について、全国の伝承と近世以来の文書を集めて論じる。出雲・隠岐・豊後・土佐では筋の家の割合や縁組の偏りを調べ、憑きもの落としの行法や家の神とのつながりまでを七章で追っている。