神の命綱、三分の金
どんな伝承か
日光の三峰神社は元禄時代、信仰心の衰退により経営が困難になった。別当の日光が下山しようとすると、神の使いとされる犬族に前後を塞がれて身動きが取れなくなった。彼らは日光が去ることで寺社が滅びることを知っており、引き留めたのだ。やがて甲州からの参詣者が訪れ、奉納した僅かな金銭によって神社は命がつながった。この三分の金こそが三峰神社の救いであり、犬族の超越的な予見と慈悲の現れであるとの説話。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
民俗怪異篇(磯清・磯清・民俗怪異)
『民俗怪異篇』は、磯清が著した民間の怪異をめぐる随筆集である。馬を襲う魔物ギバとその禁厭、阿波の首切れ馬「夜行さん」、姫路城の刑部姫や猪苗代城の亀姫などの城の怪、化け猫、灯火による占い、秩父三峰の狼の信仰と狼の怪、怪談を題材とする落語を取りあげ、各地の言い伝えや古い記録を引きながら語る。序に続いて「馬の災と馬の怪」「城の主」「猫」「灯の占」「狼の噂」「落語に存在する怪談」の六篇を置き、それぞれを小見出しの短い話に分ける。