トップ > 島根県の伝承 > 雲南市

成績を妬まれ狐持ちの子と罵られた日

所在地島根県雲南市加茂町神原
年代昭和初期(著者小学5・6年頃)
登場速水保孝、著者、体験者(著者)
出典つきもの持ち迷信の歴史的考察――狐持ちの家に生れて

どんな伝承か

著者が「狐持ち」という言葉を最初に知ったのは、小学校の五、六年の頃であった。ある学期末、受持の先生が生徒各自に成績表を手渡し、一人ずつ成績を読みあげて、著者の成績が飛び抜けているとたいそうな褒めようをした。嬉しく面映ゆい気持で帰ろうとしたところ、二、三人の意地悪い級友に呼びとめられ、廊下の片隅に連れて行かれた。一人が「えこひいきだぞ、お前の家がおやかただと思っていばるな」と言い、続けてもう一人が「やい、狐持ちの子、お前の家は狐持ちじゃないか。狐持ちの子だから、お前も狐を使っていい成績をとったんだろう」と畳みかけた。著者は何も言えずにその場から逃げ帰ったという。

原典より

さつきの、あの嬉しい気持はめちゃめちゃになつて、ちょうど、深い谷間にすいこまれて行くような悲しい気分につきおとされてしまいました。—— つきもの持ち迷信の歴史的考察――狐持ちの家に生れて(速水保孝・速水保孝・憑きもの研究・1953年(昭和28年)) より引用
地図で位置を見る

※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

つきもの持ち迷信の歴史的考察――狐持ちの家に生れて(速水保孝・速水保孝・憑きもの研究・1953年(昭和28年))

『つきもの持ち迷信の歴史的考察――狐持ちの家に生れて』は、速水保孝が昭和二十八年に著し、柏林書房から刊行した憑きもの筋の研究書である。島根の狐持ちの家に生まれた著者が自らの体験を語り、破談や絶交など迷信が今も残す実例、蛇持ち・犬神・外道・とうびょうなど十一種の類別、人狐物語や松江藩の御触書、隠岐の訴状などの文献を取りあげる。後半では近世中期以後の新興地主と村八分から迷信の発生を説き、柳田國男と恒松安夫の序を付す。

種別から探す

狐持ち差別迷信地主体験談作男

雲南市の伝承

同じ種別の伝承

同じ文献『つきもの持ち迷信の歴史的考察――狐持ちの家に生れて』の伝承