善知鳥神社の由来
どんな伝承か
昔、善知鳥安方という霊徳智勇の人があったが、讒言によって権威を失い東夷の地へ遣られた。安方は陸奥の津軽に来て、霊夢により耕田山に登り、国見岳から卒土ノ浜を望むと土地が開けて住むによい様子であった。山を下りて磯辺に至ると祠があり、北に大きな沼、西にも沼、東に大河があるほかは葦沢ばかりであったので、祠の傍らに廬を結んだ。夷人に何の祠かと尋ねても知らず、ただ祈れば女神が現れて感応があるという。安方が七日祈ると、夷を憐れんで耕作と漁猟を教えれば、この浦の酋長となり子孫は永く栄えると告げられた。安方は宗像三女神を崇め、没後は浦の開祖としてこの社に合せ祀られた。
原典より
昔善知鳥(うとう)安方と云ふ霊徳智勇の人あり一旦讒者の為に権威を失ひ東夷に適せられ子某は西国に竄せらる安方は陸奥の国津軽に来り耕田山神の霊夢に仍り耕田山に登り国見岳より卒土ノ浜を見しに土地打開け何れにも住むへき様に見得け…—— 日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。