風呂桶で流されて助かった母と子
どんな伝承か
唐桑浜の宿の海嘯では、何を不幸の原因とも決めてしまうことができなかった。山の麓に押し潰されていた家で、馬まで無事であったものもある。二階に子供を寝させておいて湯に入っていた母親は、風呂桶のまま海へ流されながら裸で命をまっとうした。三日目に屋根を破って家へ入ってみると、その子が疵もなく生きていたという珍しい話もある。死ぬまじくして死んだ例ももとより多かろうが、そちらは親身の者のほかは忘れて行くことが早いらしいと柳田は記している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第2巻』を全331話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。