松例祭の夜に謡う羽黒山のしゃもじゃ節
どんな伝承か
出羽の羽黒山では、十二月晦日の松例祭の夜の年籠りに、終夜「しゃもじゃ節」を謡う。これは玉依姫神がこれを好まれるゆえだと『三山小誌』はいう。柳田は、そこに杓子の舞が実際にあるかどうかは知らないとしつつ、山の神と杓子との因縁を語る一例に数えている。豊後三重町あたりでは御日待講のときに杓子踊があり、津軽地方には正月二十日の杓子舞があった。杓子は食物分配の唯一の機関であって、嫁に杓子を渡すことは姑から世帯を引き継ぐことを意味し、女房を山の神と呼ぶのも、女房が杓子を標識としているからだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。