金沢の神隠しと迷子の鉦の声
どんな伝承か
加賀金沢のある按摩の話によれば、十年ほど前まで、冬の夜更けに町を歩くと、迷子となった子の名を呼ぶ声と、それに伴う物悲しい鉦の音を聞かない晩はなかったという。神隠しは特に冬季と、黄昏どき、いわゆる逢魔が時に多く起きたとされる。柳田国男はこうした神隠しの例として、山中に消えた娘が後年姿を見せた岩手の話や、山の神へ嫁に行くと言い残し田代岳へ消えた娘の話なども併せて紹介している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。