代官より先に風呂へ入った重右衛門の理屈
どんな伝承か
幕府の役人だという代官が来るというので、旦那はじゅえむに、風呂を沸かして綺麗にしておけ、代官が入るまでは絶対に入るな、丁度よい湯加減にして側にいて、湯加減はいかがですかと尋ね、ぬるいと言われたら燃してやれ、熱いと言われたら水を入れてやれ、と言いつけた。ところがじゅえむは自分が先に入ってしまう。それでいて久兵衛の旦那には、入ってみなければ熱いか丁度よいかぬるいか分からないから、入って試したのだと理屈をつけた。とにかくあの人を使いこなせる者はいなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年))
『市川の伝承民話 第2集』は、市川民話の会が昭和五十六年に発行した民話資料集である。千葉県市川市の曽谷・宮久保・下貝塚と行徳の古老から聞き取った、狐や狢に化かされた話、火の玉、伝説、昔話、唄、暮らしの禁忌や苦労話を、方言を残した語り口のまま記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部を地区別に並べて各話の末に話者と記録者を記し、巻末に語り手の紹介、話者と採訪者の名簿、採訪記、あとがきを付す。