隣家の屋根に天蓋を掛けた重右衛門の仕返し
どんな伝承か
じゅえむの主人の屋敷と隣の屋敷との境に大きな木が植わっており、育つにつれて枝が主人の側へかぶさってきた。困るから下ろしてくれと頼むと、隣家は元はうちの木だ、こちらにあるのだからどうこう言われる筋合いはないと言って切るのを断った。そこでじゅえむは、昔の土葬の葬いで棺の上にかぶせる「てんげ」を紙で作らせ、長竿の先に付けて隣家の屋根のおもしの上へ掛けてしまった。それだけはよしてくれと言われても、もとはこっちだと同じ理屈で返した。てんげは人の嫌うものなので、隣はとうとう謝ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年))
『市川の伝承民話 第2集』は、市川民話の会が昭和五十六年に発行した民話資料集である。千葉県市川市の曽谷・宮久保・下貝塚と行徳の古老から聞き取った、狐や狢に化かされた話、火の玉、伝説、昔話、唄、暮らしの禁忌や苦労話を、方言を残した語り口のまま記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部を地区別に並べて各話の末に話者と記録者を記し、巻末に語り手の紹介、話者と採訪者の名簿、採訪記、あとがきを付す。