⑤ 草ぶき屋根
どんな伝承か
話者の家は建て直す前、草ぶきの屋根でずいぶん古い方だった。一丁目か二丁目で大火事があったとき、この家とあと一、二軒だけ草ぶき屋根が焼け残ったという。屋根にはそこらへんに生えている葦を使う。田んぼの地主のところへ買いに行って刈り、屋根を作る職人が全部葺いてくれた。葦は長いもので一丈五尺ほどあった。記録者が本塩の秋本勝五郎方を訪ねると、骨組の上に直に葦を葺いた五十センチほどの厚みの屋根が残っていた。葦の多い家は金持ちで、貧しい家は藁が多く使われたという。
原典より
今は、建て直したけど、うちのは、草ぶきの屋根でもって、ずい分古い方だったですよ。—— 市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年))
『市川の伝承民話 第2集』は、市川民話の会が昭和五十六年に発行した民話資料集である。千葉県市川市の曽谷・宮久保・下貝塚と行徳の古老から聞き取った、狐や狢に化かされた話、火の玉、伝説、昔話、唄、暮らしの禁忌や苦労話を、方言を残した語り口のまま記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部を地区別に並べて各話の末に話者と記録者を記し、巻末に語り手の紹介、話者と採訪者の名簿、採訪記、あとがきを付す。