戸口に並ぶ犬神除けのお札
どんな伝承か
県内の山村で犬神騒動が起きたのと同じ一九五二年の夏、新農村建設の基礎調査で那賀郡新野町(のちに阿南市へ合併)を訪れると、ある部落ではほとんどの家が戸口に賢見神社のお札を貼っていた。賢見神社は犬神に効き目があるとされる神社で、お札はその神社を崇める修験者の講の者が勧めて配ったものだろうという。県内の農山村には、犬神憑きを恐れる迷信が今も根強く残っている証しとして挙げられている。
原典より
この事件が起った年と同じ一九五二(昭和二七)年の夏、私が今は阿南市に合併されている新野町へ新農村建設の基礎調査に行った時、ある部落の殆どの家が戸口に賢見神社のお札を貼っているのを見た。—— 徳島の研究 第6巻 (方言・民俗篇)(徳島の研究) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
徳島の研究 第6巻 (方言・民俗篇)(徳島の研究)
『徳島の研究 第6巻 (方言・民俗篇)』は、徳島をめぐる研究叢書『徳島の研究』の方言・民俗篇の巻で、阿波の犬神を論じた一篇を収める。狸やトウビョウと並ぶ阿波の憑きものとしての犬神について、起源の伝説、正体とされる小犬や鼠、犬神筋の分布と女系の継承、憑依の動機と症状、祈祷による犬神落しを、筆者の聞き書きと室町期の下知状、郡誌や『阿波民俗』などから述べる。七節に分け、昭和期の犬神をめぐる事件と迷信打破の道で結び、末尾に参考文献の註を掲げる。