ひょうたんから現れた樹林寺の夕顔観音
どんな伝承か
香取市の良文にある樹林寺。良文の地名は千葉一族の祖・平良文にちなみ、寺の近くに良文の館があったという。良文は死に際に、自分に会いたくなったらひょうたんを見よと言い残した。良文が愛したひょうたんの花・夕顔にちなみ、寺に祀る千手観音は夕顔観音と呼ばれる。一説には、子の忠頼が父に似たひょうたんを割ると千手観音が現れ、これが夕顔観音だという。千葉家四代の常重が寺を建てて観音を安置し、一族の守り仏とした。この地方では良文を慕ってひょうたんを大切にし、かんぴょうを食べない。のちに五代将軍綱吉の母・桂昌院が元禄十五年にこの観音を江戸城へ迎え、諸大名に霊験を説いたとも伝えられる。
原典より
良文という地名は、千葉一族の始祖である平良文にちなむもので、この寺の近くに良文の館があったという。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。