椿の湖の干拓で排水口を示した伊勢の神木
どんな伝承か
旭の鎌数にある鎌数伊勢大神宮には、椿の湖の干拓にまつわる伝えがある。寛文九年十月に干拓工事が始まったが、湖で暮らす住民は反対し、工事も技術的に難航したため、責任者たちは幕府の普請奉行だった桑名藩主松平定重に助けを求め、奉行はさらに伊勢内宮の梅谷左近太夫長重に頼んだ。長重は檜の神木を湖の中央へ運び、船の上で祓いをして水に浮かべ、流れ着いた所を排水口にすると定めた。神木は米方の岸に着き、そこを基点に水路が掘られる。神のお告げとあって住民も協力し、寛文十一年五月に干潟は完成した。神木の着いた場所に今の社が建ち、その神木と祓いに使った榊は厳重に保存されているという。
原典より
旭市鎌数の鎌数伊勢大神宮について、次のような伝承がある。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。