三つの頭を持って生まれた猫
どんな伝承か
明治一五年五月二日の陸羽日日新聞に、宮城郡原ノ町にある蔵下の旅人宿、加藤久左衛門方の飼猫の記事が載った。一昨々夜に産んだ猫児は頭を三つ具え、耳も目も口も鼻もことごとく備わっていて、ただ首から下は普通の猫と変わらない。今も蠢いており、多分息災に成長するだろうと記され、好事の人は行って見たまえと結ばれていた。三面八臂の鬼神、二頭四脚の艶史になぞらえて紹介された記事であったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。