蛍になっておいでと葬られた猫
どんな伝承か
日本画家の小野怡は、飼っていた猫「宇宙」を何枚もの絵のモデルにしていた。その宇宙が昭和六一年の夏、車にはねられて急に死んでしまう。小野は亡骸を氷の上に横たえ、何枚も何枚も写生を重ねたうえで、蛍にでもなって帰っておいで、と語りかけて庭に葬った。翌年の夏、庭の茂みに蛍が三匹あらわれ、毎晩のように飛びかったという。宮城県の小野和子が書き送った話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。