手放す相談を聞いて消えた黒猫クック
どんな伝承か
昭和六十二年二月、福島の祖父母の家で生まれた黒猫をもらい受け、祖父が「クック」と名付けた。金色の目をした猫で、他所の家の鳥を捕まえるなどいたずらを重ね、母はそのたびに近所へ謝っていたという。ある日、母が父に「もう飼えない」「捨てるのもかわいそうだし」と話していたのを聞いた語り手は、手放さないでほしいと泣いて訴えた。クックもそばで鳴いていたが、それから二日後、学校から帰るといつも門で待っているはずのクックの姿がなく、九か月たっても帰ってこなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。