会ったこともない作家が娘の夢に
どんな伝承か
昭和五十年九月、報告者が親しくしていた児童文学作家のMさんが亡くなった。そのとき高校生だった次女が、朝起きるなりMさんが大変だから今日行ってあげてと言い出した。一度も会ったことのないMさんの顔立ちや姿を言い当て、夢の中で古いお宮から白い着物に髪を振り乱したMさんが出てきて助けを求めたのだという。報告者は気味悪く思いながらも、今度の日曜にでも行くと答えた。ところが翌日、Mさんが自ら命を絶ったという電話を受けた。娘が夢を見た時刻に亡くなったのではと思うと、今も不思議でならないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。