保証倒れで首をくくった養父
どんな伝承か
この部落では、子方は親方に労働力を提供し、親方は子方の生活を保証した。子方が提供する労働には、田植え・稲刈り・脱穀などの農作業のほか、大掃除、すす払い、家普請の手伝い、婚礼や葬式の手伝いが含まれた。大正七年(一九一八)、HC氏の養父(HC氏は婿養子)は、子方の一人である大工が小学校建築に失敗したとき、その保証人になっていたため保証人倒れとなり、責任を負って首をくくって自殺したという。葬儀のときの棺かつぎは子方にしてもらうという旧来の習慣もあり、HC氏はそのためにどうしても四人の子方は残しておきたいと述べていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の憑きもの(吉田禎吾・民俗・憑きもの研究・1972年(昭和47年))
『日本の憑きもの』は、吉田禎吾が一九七二年に著した人類学の研究書である。キツネ・イヌガミ・オサキなどの憑きもの信仰と、それを家筋で伝える憑きもの筋を、島根・高知・大分などの村での調査事例と古記録をもとに取り上げ、アフリカやヨーロッパの邪術・妖術と比べて論じる。三章立てで、憑きものの正体と特色、憑きもの筋の形成と伝播、憑きものが村落社会で果たす働きを順に述べ、注とあとがきを付ける。