庭に現れる泉田出雲屋敷の美女
どんな伝承か
仙台藩士の日向某が、北一番丁、二日町うら勾当台の四つ角南側東角にある泉田出雲の屋敷を訪ねたところ、土塀の出格子から、内側の庭園に花のように装った美女がいるのを見た。親しい間柄なので座敷に通ってから、庭におられる美人はどなたかと尋ねると、主人は、あなたも見られたかと言い、屋敷のあちこちに現れ、春の長閑な日は路地の向こうの畑に行き、暮れ方には白装束に散らし髪で茶の間の前の釣瓶井戸から水を汲み上げていることもあると語った。前代の本多伊賀が住んでいた頃からそういう変異があったという。雨の淋しい夜には、腰の曲った老婆が破れた鉦鼓を首に懸けて軒下を徘徊することもあったが、家や人に仇をすることはなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮城県史 民俗編(茂木徳郎(「妖怪 幽霊」の章)・宮城県史シリーズ)
『宮城県史 民俗編』は宮城県の県史の民俗編で、ここに収めるのは茂木徳郎が執筆した章「妖怪 幽霊」である。山・道・木・水・海・雪・家など出現の場所による分類に沿って妖怪変化を論じ、幽霊とヒトダマ・死霊・生霊の観念を考えたうえで、県内の妖怪・幽霊・動物変化の伝承を郡・町村名を添えて集める。序説・本論・事例篇・参考の順に並び、序説では昭和二十四年の迷信調査と昭和三十年のNHK仙台中央放送局の調査にも触れる。