毒菓子を食べた強盗と命拾いした蓮月尼
どんな伝承か
京都に住む蓮月尼のもとへある夜、強盗が押し入り金を出せと脅した。尼は少しも騒がず手箪笥から金を出して与えた。強盗はさらに茶漬を求め、残り飯を平らげ、なお足りぬと言うので、尼は昨日もらった麦粉菓子を出してやった。強盗が遠慮なく食べると急に苦しみ出し、その場に悶絶して絶命した。取り調べの結果、その菓子は尼に金を借りていた者が尼を毒殺しようと毒を仕込んで贈ったものと判明した。強盗が毒に死んだのは天罰であり、強盗が入ったおかげで尼が命を助かったのは奇蹟だと結ばれる。
原典より
強盗がその毒に死んだのは、天罰とはいえ、蓮月尼が、その夜強盗の入ったお蔭で、危き命を助かったのは、奇蹟といえよう。—— 日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。