四歳で十三貫の大食いの怪童
どんな伝承か
千葉県市原郡五井町玉前七五四の半農半漁業、時田安蔵(四十五歳)の五男春雄は、大正十三年三月十日、当時三十九歳の母ゑよの腹から生まれた。生まれたては普通の赤ん坊だったが、三月目にはどっしりと重味がついて背負いきれなくなり、身長三尺六寸五分、体重十三貫五百二十匁、米一俵を積んだ大八車を二、三歩引っぱるという稀代の怪童になった。食事は三度三度、田舎の百姓の五郎八茶碗に四、五杯を大人並みに食べる。風呂も夜の便所も二人がかりで、近所の子供が五、六人一度にかかっても跳ね飛ばされる。身体が重く一日に二、三回しか歩かず、隣家へ遊びに行くと帰りは歩けないという。噂では大相撲協会の綾錦に弟子入りするという。
原典より
生後八ヶ月で、身長三尺六寸五分、体重十三貫五百二十匁、米一俵を積んだ大八車を、二、三歩をひっぱるという、稀代の怪童があらわれた。—— 日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。