頭髪を食べる美少女と胃の毛塊
どんな伝承か
横浜市神奈川区青木町の横山はな子(仮名)という十七歳の美しい娘は、毛の類が大好物で、頭の毛までむしり取って食べなければいられないという奇病の持ち主であった。食べた毛が胃に溜まって食物が腹の方へ通らず、水ばかり飲んでいたためすっかり衰弱した。心配した両親が一月ほど前に市立十全病院へ入院させ、十月一日、院長片山博士以下外科医全員立会いのもと小島医学士が手術したところ、胃の中から胃腔と同じ形をした縦四インチ、横三インチ、重さ百十三グラムの毛塊が現れた。経過は良好で同月九日に退院した。医学上ツリコベツアール(胃内毛塊病)と呼ぶ、世界でも稀有の症例であるという。
原典より
横浜市神奈川区青木町の横山はな子(仮名)という十七歳の美しい娘は、不思議にも毛の類が大好物で、頭の毛までむしり取って食べなければいられないという奇病の持主である。—— 日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。