秋保大滝を飛ぶ消えた近習頭
どんな伝承か
仙台藩の近習頭高橋和三郎は、城中の勤めを終えて下城する途中、広瀬川に架かる橋までは姿を見た者があったが、そこから急に見えなくなった。家人が奉行所に届け出ても手がかりはなく、高橋は乱心とされ、家督は子に継がれた。十数年ののち、藩主が秋保へ鷹狩りに出た。秋保の大滝のあたりで休息していると、滝を猿のように飛び越えていく者があった。身の軽い山男である。家来の一人が、あれは姿を消した高橋和三郎に間違いないといった。その後、山男を見かけた者はいない。『秋保旧事記』にある話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・1974年(昭和49年))
『東北怪談の旅』は、山田野理夫が昭和四十九年に編んだ東北地方の怪談集である。青森・秋田・岩手・宮城・山形・福島の六県に伝わる妖怪や幽霊の話、飢饉と間引にまつわる話、江戸時代の奇談などを、一番から一六三番までの短い話として収める。各話の末尾に県名を記し、恐山や飢饉の記録にふれて東北の怪談と怨念を結びつけるまえがきと、怪談観や霊能者をめぐる回想を記したあとがきを付す。