手拭を被り小児のように踊る飼猫
どんな伝承か
下総佐倉の医師高木伯仙が、甲子夜話の著者である松浦侯の伯母に語った自家の経験談がある。それによると、伯仙の父の代のこと、ある夜、就寝した後に枕元で物音がするので目を開けて見ると、久しく飼っていた猫が、頭に手拭のような布片をかぶり、立って手を挙げて招くような風をしながら、よちよちと小児が跳ね踊るようにしていた。伯仙の父が枕刀で切りかけると、猫は驚いて走り去り、ついに二度と姿を見せなかったという。この事は明和安永の頃のことらしいと記されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物界霊異誌(岡田建文・岡田建文・心霊研究・昭和初期(1927))
心霊研究家・岡田建文が昭和二年(一九二七)に著した『動物界霊異誌』。現代物理は宇宙の大物理の末梢に過ぎぬとの立場から、動物の霊異を迷信的虚妄として退けず証明すべき事例として収集する。蝦蟇(ヒキガエル)の章では、蛇を埋めてクリ茸を生やし食う怪(島根波根東村)、背に五寸釘を刺され口から怪光を吐く大蝦蟇(会津若松龍田屋、同時に幼児が高熱)、猫を灰色の液汁に溶かす怪(石見久利村)、慶応二年に浄土寺へ夜ごと現れた武士の正体が蝦蟇だった話を収める。