鳥刺しが見届けた鼬の火柱
どんな伝承か
『庄内可成談』が火柱の正体を示す例として挙げる話。以前、京田大山組の下川村の者が鳥刺しに出かけ、夜のうちに家を出て、ある村でようやく起き出していた家に立ち寄ってひと休みした。東の空が白みはじめたころ、積んであったものの上から赤い火のようなものが一筋ほど立ちのぼるのが見えた。これが世に言う火柱かと、そっと近寄ってよく見ると、鼬がその上に立っていて、上へ向けた口からその火の光が出ていたのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
井上円了 妖怪学講義(井上円了 著・平野威馬雄 編)
『井上円了 妖怪学講義』は、明治期に哲学館で講じられた井上円了の『妖怪学講義』から要所を選び、平野威馬雄が現代の文章に改めて編んだ抄録である。狐憑きや化物屋敷、怪火、幽霊、コックリなどを題材に、円了が古書から抜き出した記事、各地から寄せられた報告、円了自身の現地での調べを収める。原著の八部門のうち理学・心理学・宗教学・雑の四部門を章に立て、序で研究の経緯と分類を、結びで編者の見方を述べる。