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胎児の性を言い当てた老猫

所在地東京都墨田区本所(割下水)
年代伝承・近世
登場石川八郎、語り手、伝承者、本所割下水に屋敷を構えた旗本・猫の人語を聞いた当人
出典民俗怪異篇

どんな伝承か

江戸の本所割下水に屋敷を構えていた旗本の石川八郎が、十二月のある夜、妻と炬燵にあたりながら、生まれてくる子は男か女かと話していた。妻が、産婆は男だと言うが母は腹の張り方から女らしいと言っていた、と答えると、炬燵の櫓で温まっていた飼い猫が、はっきりと男だと口をきいた。妻は声も立てずに夫の背へ逃れ、八郎も膝を崩さず猫を見つめただけだったという。四、五日後、八郎は金子を添えてこの猫を知行所の寺へ預け、一生飼い殺しにしてもらった。猫は母の代から飼われた十六、七年の老猫で、生まれた子は男であった。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

民俗怪異篇(磯清・磯清・民俗怪異・昭和初期)

磯清『民俗怪異篇』。馬・城・猫・灯の占・狼・落語の怪談という主題ごとに、各地の怪異伝承を随筆風に集成する。馬の怪では、馬を悩ます馬魔(ギバ)とその禁厭、大津馬神社と魔女の素性、古戦場・城趾に出る首切れ馬と濁ヶ淵の主、袖ヶ瀧山の夜行さん(左片袖の姫)、鈴鹿の坂で物言った馬の人語(寛政年中)、馬と恋の執着、徳川家が白馬を禁物とした話。

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