即興の美声が名づけたヘツツイウシ
どんな伝承か
昔、身なりの立派な和人が上川のコタンに入り、一人のアイヌを案内に立てて丸木舟で忠別川をさかのぼった。今の神楽岡まで来ると、その壮観な眺めを賞して思わず即興を口ずさんだ。その声が高く低く実に美しかったので、案内のアイヌもつい引き込まれ、手を打ってヘッヘッとはやし立てたという。これよりアイヌたちは、この岡をヘツツイウシと呼ぶようになったのだとも伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。