雪渓の花畑に神が降りる庭
どんな伝承か
ヌタクカムウシュペ、すなわち大雪山の山頂帯には、万年消えることのない大雪渓の間に花が咲き乱れるお花畑があり、足を踏み入れる者は誰しも仙境にいるような心地がするという。この地には昔大きな池があって、雪どけの清らかな水が青空の色をたたえ、岸には高山植物が一面に咲きつめていた。そこへ毎夜、神々が天降ってさまざまな舞を舞い、歌をうたって遊ぶ。アイヌはそこをカムイミンダラ、神の庭と呼んだ。晴れた日に近文のコタンから山頂を望むと、日を受けてきらきらと輝く場所が見える。そこがカムイミンダラなのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。