真山の麓に来る旧正月のナマハギ
どんな伝承か
秋田沿海部のナマハギは、昔の年越の節であった旧正月十四日の夜更けに行われる。村の青年の中から選ばれた者が蓑笠で姿を隠し、恐ろしい面をかぶって木太刀と庖丁を手に持ち、木箱のような物をからからと鳴らしながら家々に入って来て、主人と問答する。小児がこれを恐れることは鬼神に対するのと同じだが、成人の男子は自分もこれに扮したことのある者が多いため、単に厳粛な一つの儀式として見ている。秋田では通例、生剥の字を宛ててナマハゲと呼ぶ者が多く、八郎潟の西岸の村々や男鹿の真山の麓の里ばかりに限られた風習のように思っている人もある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。