温泉の山腹に立つ失踪した妻
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どんな伝承か
盛岡の辺では、黄昏に婦人や小児が戸外にいることをことに甚だしく忌んだ。十年ばかり前のこと、この町に住んで醤油の行商をする者の妻が、夕方に戸口に立ってただ一人外を見ていたのを、近所の人々が気遣わしいことに思っていたが、それなりにふと行方を失った。亭主は狂気のように諸方を求め歩いたけれども、絶えて消息もないままその年を過ごした。翌年の夏、綱張の温泉に湯治に行き、日暮れに宿の外を見ると、わずか一二町先の山腹の熊笹の中に、あの失せた妻が立っていた。急ぎ走り出て追い掛けたが、次第に遠ざかり、嶺の方へ登ってついにまた見えなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第4巻』を全822話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。
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盛岡市の伝承
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