子供の玩具にされたカクラサマ
どんな伝承か
栃内村の字琴畑は深山の沢にあり、家の数は五軒ばかりで、小烏瀬川の支流の水上にあたる。琴畑の入口には塚があり、その塚の上にはおよそ人ほどの大きさの木の座像がある。以前は堂の中にあったが、今は雨ざらしである。これをカクラサマという。村の子供がこれを玩物にして引き出し、川へ投げ入れたり路上を引きずったりするので、今は鼻も口も見えないようになってしまった。子供を叱り戒めてこれを制止する者があると、かえって祟りを受けて病むことがあるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。