石を投げて火事を当てる男
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どんな伝承か
遠野の町に芳公馬鹿という三十五六の男がいて、白癜で一昨年まで生きていた。この男の癖は、路上で木の切れや塵などを拾って捻り、つくづく見つめては嗅ぐことであった。人の家に行っては柱などをこすってその手を嗅ぎ、何でも眼の先まで取り上げてにこっとしては嗅ぐ。この男が往来を歩きながら急に立ち止まり、石などを拾い上げて近くの人家に打ち付け、けたたましく火事だ火事だと叫ぶことがあった。そうすればその晩か次の日に、物を投げつけられた家が火を発しないことはない。幾度となく同じことがあり、後には家々も注意して予防したが、ついに火事を免れた家は一軒もなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第4巻』を全822話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。
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遠野市の伝承
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