大八車の提灯が狐の嫁入りに見えた夜
どんな伝承か
国分では冬から春にかけて葱、夏から秋にかけて大根がよく作られた。父を早く亡くした岩瀬ふくは長女として、夜十一時に国分を発ち市川橋を渡って浜町の市場へ大根を売りに通った。懐中電灯もない時代、大八車の提灯を遠くから見ると、江戸川の橋のあたりは光の行列になり、まるで狐の嫁入りを見るようだったという。帰りに酒に酔って化かされたと言い訳する男衆の話も添えられている。
原典より
だって、昔の話は本当にうそのようだもの。—— 市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。