狐に回された話 (1)
どんな伝承か
語り手が二十歳ぐらいの頃、曽谷のカマヤのしげおほか三人で、矢切に大蛇が出たというので朝から握り飯を腰に提げて見に出かけた。国府台からはすぐの道のはずが、いくら歩いても分からず、真っ暗になっても着かない。やがて狐が高張り提灯を点けてぐるぐると回り、三人は田の畔をいつまでも回らされていた。そのときは少しも気づかなかったという。曽谷のゼンニムのケンサカに「おめえら何をしてこんなそばにいるんだ、もう晩飯を食っている」と声を掛けられて我に返ると、朝に出たまま国分新田の練兵場のあたりに居たと語る。
原典より
――あと、狐のね、火かなんかは見たことあります?そんなの見たこと、見たことねえけど狐は回されましたよ。—— 市川の伝承民話 第6集(市川民話の会・市川の伝承民話・平成初期刊) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第6集(市川民話の会・市川の伝承民話・平成初期刊)
市川民話の会編『市川の伝承民話 第6集』を全140話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。