石切山へ連れ去られる老婆の夢
どんな伝承か
大正十一、二年ごろ、長野県坂城町でのこと。語り手は危篤の親戚のお婆さんを看病するため、母と二人でその枕元に寝た。夢の中で、お婆さんは起き上がって障子を開け、すたすたと外へ出ていく。あとを追うと、百メートルほど先で別のお婆さんが手招きしており、病人はそちらへ歩き続けた。石切山まで来たところで大きな手が現れて病人の手を取り、宙を舞うように山の上へ消えた。翌朝、お婆さんは腹が減ったと粥を茶碗一杯食べるほど元気になったが、一週間後に亡くなった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。