閉ざした金蔵に現れた下女
どんな伝承か
奥州仙台城下の国分町に奈良屋という豪商があり、七つの蔵のうち一つには大判小判が積まれていた。金蔵に入れるのは主人と番頭一人だけで、扉はいつも堅く閉ざされていた。貧しい百姓の娘が下女として住み込んでおり、夢でもいいから金蔵に入ってみたいと仲間に語っていた。ある日その下女が姿を消し、金蔵の中で物音がした。扉を開けると下女が泣きながら立っており、夢に蛇が出て股の内に入っていったと語った。蛇に見込まれた女は置けぬと暇を出された下女は、帰り道の草むらで小便をすると小判が出たという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・1974年(昭和49年))
『東北怪談の旅』は、山田野理夫が昭和四十九年に編んだ東北地方の怪談集である。青森・秋田・岩手・宮城・山形・福島の六県に伝わる妖怪や幽霊の話、飢饉と間引にまつわる話、江戸時代の奇談などを、一番から一六三番までの短い話として収める。各話の末尾に県名を記し、恐山や飢饉の記録にふれて東北の怪談と怨念を結びつけるまえがきと、怪談観や霊能者をめぐる回想を記したあとがきを付す。