墓を直した直後に来た婆さんの迎え
どんな伝承か
松江の本家の老人が、自分の家の墓を直さねばと思い立ち、すべて整理してきれいにした。その直後にひき逃げに遭い、寝たきりになってしまう。ある日、家の者が墓参りから戻ると、老人は、婆さんがそこに来て茶を飲み、自分に挨拶をしていると言い出した。息子が、母はとうに亡くなっていると告げると、老人はそうだったと応じ、続けて酒でも飲もうかと言う。寝ついてから酒を口にしたことなどなかったのを訝りながら、息子は盃に注いでやった。老人はうまそうに飲み、数時間後に息を引き取った。婆さんが迎えに来たのだろうと家族は語り合った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。