祖先の霊が寝言で語り出す
どんな伝承か
高野寿直の報告である。年恵の身体に異常現象が起こったのは、たしか明治二十五年頃、最上町の千葉家に同居していた頃かと記憶するという。最初は食物が胃に収まらないので、年恵の母は心痛のあまり星川医師の診療を乞うたというようなことを耳にしている。その頃から夜間の睡眠中に、同家の祖先の霊が年恵に憑り、その口を借りて、ちょうど寝言のようにいろいろ物語をするので、母は大変驚いたそうである。その話を聞き伝えて次第に神仏のお告げを乞う者が増加し、後には睡眠中でなくとも、一心に念ずれば容易にお告げを受けるようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。